明確な終わりはなくても希望を感じ取れるラスト 〜橋本紡『ひかりをすくう』

 穏やかな癒し系の話かと思ったら激しい展開も挿入されるのでなかなか緊張感がありました。著者の『流れ星が消えないうちに』では、既に何かが起こった状態から物語が始まりましたが本作もその例に漏れず。基本は田舎暮らしの穏やかな展開なんですが、ときおり挟まれる過去の出来事やそこから派生した問題が語られる場面はかなり激しい展開ですね。
 特に終盤の口論から川で溺れそうになるまでの一連の流れは劇的。これが長編シリーズだったら、ここからさらに新たな問題が展開していくんだろうなあと思いました。

 終始無駄のない展開というか、要所々々の細かい話がラストできちんとつながっていくのが上手いなと感じます。姉と駅で別れる場面にはそういう意味があったのかと。

 何より本作を魅力的なものにしている小澤さんがツボですねえ。この娘がいるおかげでだいぶ救われてます。この娘が読む猫の絵本と本筋の展開がゆるやかにリンクしてるのがとても気持ちいいなあと。


 そんなにたくさん読んでるわけじゃないけど、ラノベ時代の作品も含めて著者の作品で一番お気に入りになりました。